・「ひとりの子供が人類に夢と希望を与える計画よ」 ・「少し、助言をしてあげましょう」  「はい……なんですか?」  「白銀」  「はい」  「強い意思を持って事に当たりなさい。望むものを勝ち取るために、全力を尽くしなさい」  「……え?」  「世界はね……望むと望まざるとに関わらず、色んなものを勝手に投げつけたり、奪ったりしていくわ」  「…………」  「時間なんてその典型ね……常に容赦なく流れていく……」  「はい……」  「時間が一番残酷で優しいと言った人がいるわ」  (中略)  「時間だけにしか解決することができないこともある……そういうこと」  (中略)  「だったら、それが実現すると強く思いなさい、それを実現するために行動しなさい」  「…………」  「意思の力で世界を移動する……それが出来るあんたは、自分の意思で世界を変えてしまうことの出来る存在なのよ、きっと」 ・何だろうなあ……こうしてただボーっと人を眺めているだけなのに……少しでも顔を動かすと、涙がこぼれてきそうになる。  辛いことがあると、誰もいないところに逃げたくなる人がいるけど……今のオレは……逆だ。  確かに、人がたくさんいるところはうるさくて、自分のペースで歩くことも難しくて、イライラする。  今こうしてても、もう少し静かにならねぇもんかって思う。  でもそう思えるのは、誰かはオレの存在を認めてくれるからだ。それがわかりきっているからだ。  もうじき……こうしていることそのものが哀しみに変わっちまうだろう。  そうなったら、たとえ他人でも、一生顔を合わせなくても、すれ違ったくせにどんなやつか全く覚えていなくても……それでも人がいるのがいいと思うようになるんだ。  今のこの気持ちは、二度と感じることのできないものになってしまうんだ。  その時オレは……何を考えて生きようとするんだろうなあ……。 ・「自ら血を流すことを厭い、そこから目をそらして安全保障を他者に委ねてしまえば、確かに楽にはなるだろう」  「だがそうなった場合、その他者にとって都合の良い状況に向かうのは当然であり、そこに乗っかった側が文句を言うことなど筋違いだ」   ・だけど……こうやって、恥ずかしいことも冗談のように話せるっていうのは……まりもちゃんの言った通り……前に進んでいる証拠なのかも知れない。  全てを笑って話せるときがいつかくる……その日にたどり着くために、前に進めばいいんだ。 ・娯楽のほとんど無い『この世界』でも、こういう芸術的な趣味はちゃんと残ってるんだな。  戦いばかりの世界だから、こういう潤いって大事だよな。 ・「いや……オレは自分より優れている部分を持つすべての人を尊敬する」 ・……このふられるショック、というかリスクを覚悟して、みんな人を好きになるんだな。その上で自分の想いを相手に伝える……凄い事だ。